左官をワークショップで

土蔵補修費の内訳ではやはり漆喰による外壁左官補修が圧倒的にウエイトが大きく、これを工夫せざるを得ませんでした。建築主が支給するスギ板や他のパネルで外部を張り上げてしまうことも検討しましたが、もともとあるスギ腰板の張替えは問題ないとして、漆喰部分にパネルを貼る際に、内部の木構造体まで届く長いビスなどを使ってパネル下地を設置することが案外困難であるという施工サイドの返答が帰ってきました。

漆喰補修は高く、パネル張は施工が困難ということで、八方ふさがりとなってしまったわけです。ワークショップはこの時に苦肉の策としてでたもので、左官に興味を持つ素人の方々に左官作業を経験してもらう実践の場として土蔵を提供するとかわりに漆喰壁補修にボランティアで協力していただくというものです。
開かれた大学として全国的にもユニークな試みをしている和歌山大学システム工学部で、本多友常先生と和歌山大学地域共同研究センターの河崎昌之先生をお訪ねし、協力をお願いしたところ、このプロジェクトに賛同して下さり、学生さんを参加させていただくことになりました。また古い建築の保存に積極的に活動されているキューブ建築研究所・橋本雅史氏にも賛同を得て、社会人の方々の参加を呼びかけていただきました。また、(株)野島建設・野島正明社長にワークショップの考え方を述べて協力を仰いだところ、「どこまで出来るか私も興味あります」との返事をいただき、地元の左官組合を束ねてこられた瀧川左官の瀧川さんに指導いただけることになりました。

消えゆく土蔵の保存、及び、最近見直されつつある左官技術に触れる機会として、地元の、建築系の学生さんや先生と建築事務所の有志の参加を仰いで、いよいよ”左官ワークショップ”の形で、素人の手で土壁及び漆喰部の補修を始められることになったわけです。


ワークショップのメインページへ戻る

(有)クロノスのメインページへ戻る